天井のLEDランプの測定がばらつく原因

ライトアナライザーの測定値がばらつく原因は、Q&AのQ6に詳しく記載していますが、測定値がばらつく大きな要因の一つは、測定者自身の動きです。下図は、ライトアナライザーをPCに接続して天井の白色LEDランプの照度を1秒間隔でLoggingしたものです。0秒から17秒まで意図的に体を動かしたところ、測定値に最大約50%の変動が生じました。

レーザー距離計で測定したところ、天井のLEDランプからセンサーまでの距離は2.0 mでした。また、レーザー距離計を用いて、LEDランプの真下にセンサーを設置しました。

机の上(床から70 cm)で照度をできるだけ正確に測定する場合は、天井のLEDランプの直下にセンサーを置き、Loggingを開始した後、センサーから離れて連続測定するか、Type-Cケーブルを用いて遠隔で測定する必要があります。測定中は、センサー付近を人が通らないようにします。

もちろん、測定者の動きだけでなく、測定位置も測定結果に大きく影響します。上記と同様に1秒間隔でloggingを行い、画面に表示される測定値を見ながらセンサーの位置をそっと動かすと、測定位置による影響がよく分かります。




質量の定義の改訂

キログラムの定義は、2018年11月16日に改定が決議され、2019年5月20日に施行されました。従来はパリにある国際キログラム原器を基準としていましたが、現在は、プランク定数hの値を正確に6.62607015×10-34と定めることによって定義されています。この定義は、光子のエネルギーE=hνと質量の静止エネルギーE=mc2の関係から、質量をエネルギーと光子の周波数と関連付けて理解することができます。1 kgの質量に相当する静止エネルギーは、約1.3564×1050 Hzの光子のエネルギーに相当します。

宇宙船の中での体重(ヒトの質量)の測定方法

 

無重力状態*の宇宙船内では、地上で使用する通常の体重計は使用できません。そこで、ニュートンの運動方程式 F = ma を利用して、体重(ヒトの質量)を測定します。

質量 m は、

m = F/a

と表されますので、ヒトに加えた力 F と、その力によって生じた加速度 a を測定すれば、質量を求めることができます。

実際の宇宙船内では、バネなどを利用して宇宙飛行士に既知の力を加え、そのときに生じる加速度を測定することで質量を求めます。NASAの国際宇宙ステーション(ISS)で使用されている「SLAMMD(Space Linear Acceleration Mass Measurement Device)」も、この原理を利用しています。

なお、ここで測定しているのは厳密には「体重」ではなく「質量」です。地上では体重計で測定した値をkgで表すことが一般的ですが、物理学では、質量の単位はkg、重力によって生じる重量(力)の単位はNです。

* 正確には、宇宙船内は自由落下の状態です。地球の重力がなければ、宇宙船は地球の周りを回ることができず、そのまま直進していきます。宇宙船が地球の周りを回り続けられるのも、地球の重力のおかげです。

白熱電球

白熱電球は、ガラス製の電球内部に不活性ガスを充填し、その内部に発光体であるフィラメントを取り付けた構造になっています。経済産業省の方針により、一般照明用の白熱電球については2012年までに生産中止が進められましたが、不活性ガスとしてクリプトンを封入したクリプトン電球は、2026年現在でも販売されています。

700 nm以上の赤外線(近赤外線)の光量が高く、可視光だけでなく赤外線も多く放射していることが分かります。

下図は、クリプトン電球の照度の経時変化です。照度は電源投入直後からほぼ一定の値を示しましたが、そのばらつきはLEDランプに比べてかなり大きくなりました(LEDランプのCVが0.02%であるのに対し、クリプトン電球のCVは0.13%)。

クリプトン電球の照度のばらつきの主な原因として、電源電圧の変動が考えられます。白熱電球では、電源電圧が変動するとフィラメントの温度が変化し、それに伴って光出力も変化します。このため、電源電圧のわずかな変動が照度の変動として現れたと考えられます。



設定日時が狂う問題

ライトアナライザーの内蔵時計のバックアップ電源には電池ではなくコンデンサを使用しています。そのため、電源をオフにしたまま1週間以上放置すると設定した日時が狂うことがあります。したがって、ライトアナライザーで測定を開始する前は必ず日時が合っているかを確認し、必要に応じて再設定する必要があります。



ヒトの眼は光子を認識している

 

ヒトの網膜の視細胞(杆体と錐体)は、光子を吸収することで光を検出していることは古くから知られています[Hecht, Shlaer and Pirenne(1942)]。現在では、ヒトの杆体細胞は、光子1個レベルの刺激でも検出できることが分かっています[Jonathan N. Tinsley et al. (2016)]。光の明るさを表す物理量として、照度(lx)が広く用いられていますが、照度は、光放射照度にCIE標準比視感度を適用することで、以下のように定義されます。

fi:波長λiの時の分光放射照度(W/㎡/nm)
Vi:波長λiの時の比視感度(無単位)
Km:Wをルーメンに変換する係数(Km=683 lm/W)

しかし、視細胞が光子を検出しているのであれば、光の明るさを、照度のように光のエネルギー(放射照度)を基準として表すのではなく、光子数、すなわち光量子束密度(PFD)を基準として定義したほうが合理的なのではないかと考えられます。

C. Martinsons らは、2024年の論文“Reconsideringthe spectral distribution of light: Do people perceive watts or photons?”で、視覚を含む光化学的・光生物学的作用は、本質的に光子の作用によるので、光子系(photon system)を用いることが適切であると述べています。

光子ベースの明るさは以下の式で表現されます。

pi:波長λiの時の分光光量子束密度(µmol/㎡/s/nm)
Vi:波長λiの時の比視感度

上記の式から、人間の眼で見た「光子ベースの明るさ」は重み付け光量子束密度(µmol/㎡/s)になります。

しかしながら、分光放射照度に基づいて算出される「照度」は、光子の概念が確立される以前から定義されており、現在でも一般的に使用されています。





内蔵バッテリーの劣化度の評価

リチウムイオンバッテリーは、長期間の使用により劣化し、最大容量が低下します。このバッテリーの最大容量に相当する指標として、loggingの持続時間を測定することにより劣化度を評価することが可能です。

測定機器:ライトアナライザー LA-106
対象電池:満充電した内蔵バッテリー(残量100%を確認)
測定条件:バックライト100%、操作音on、自動ダーク補正on
Logging方法:1分間隔で9999回

新品のバッテリーを使用し、上記の条件でloggingを行ったところ、バッテリーの消耗によりSDカードへの記録が停止するまでの時間(持続時間)は2.4時間でした。対象バッテリーの劣化度(容量維持率)は、新品のバッテリーの持続時間に対する、対象バッテリーの持続時間の割合(%)として算出することもできます。例えば、対象バッテリーの持続時間が1.9時間の場合、容量維持率は79%となります。

注1)バッテリーを充電しても何らかの理由により赤ランプが消えても残量が100%にならない場合があります。また、満充填であっても、残量の表示が80~90%の場合があります。そのような場合は、取り敢えず赤ランプが消えるまで充電して上記条件で持続時間を測定するか、他のライトアナライザーで残量チェックや充電を行うことをお勧めします。

注2)測定機器としてLA-105を用いた場合は、上記と同じ条件でloggingを行っても持続時間が短くなる傾向があります。